時代背景 History

『チャクペ―相棒―』の時代設定は、朝鮮時代後期である。この時代、政治が腐敗し、民衆が苦しめられる元凶を作ったのは、あろうことか名君の誉れ高い正祖<チョンジョ>(ドラマ『イ・サン』の主役王)だった。

農業や商品経済を活性化し、文芸を復興させるなど多くの業績を成し遂げた第22代朝鮮国王・正祖。しかし、1800年6月、死の床にあった彼がよかれと思ってとった決断が、乱世に陥るきっかけとなった。

世継ぎとなる純祖<スンジョ>(第23代王)は、わずか10歳。祖母・貞純王后<チョンスンワンフ>の垂簾聴政(幼い皇帝に代わって摂政政治を行う)を受けることになるが、幼い息子を心配した正祖は、信頼していた側近の一人に息子の後見を頼んで他界した。 この側近こそ、臣下が強力な権勢を握る"勢道政治"を推し進めた張本人・金祖淳<キムジョスン>だった。正祖の死後、純祖はすぐ金祖淳の娘(純元王后<スンウォンワンフ>)と結婚させられる。

1805年貞純王后が亡くなった後、本性を現した金祖淳は、王后によって登用された要人を大量に追放。その一方で、王の政治を補佐する名目で、自分の一族から大量に人材を登用。実質的に、義父一族(安東金氏<アンドンキムシ>)が政治の実権を握るようになる。その後も、憲宗<ホンジョン>(第24代王)、哲宗<チョルジョン>(第25代王)と一族の娘を結婚させ、なんと約60年の長きにわたり権力をわがものにしたのだった。

当時は、たとえ王族でも安東金氏の勢道政治に抑えられ生きて行かねばならず、地方に追いやられたり、ひどい場合は、罪を着せられ死が待ち受けていたという。

そんな大きな権力を持った安東金氏の周辺には、官職を得ようとする者が群がり、能力はなくとも金銭を積んで職を与えられた者が増え続けた。一族の横暴に朝廷の機能は乱れ、いたるところに不正役人があふれ、民衆は苦しめられることになった。

役人の暴虐のもっとも代表的なものは、過大な税金の取り立てであった。法をねじまげて増税したり、もともとなかった税金を勝手に作って負担させ、強制的に取り立てる。そして、支払わない者は容赦なく罪人に仕立て上げられた。こうした行為は、全国に広がり、民衆はぎりぎりまで追いつめられ、各地で大小の民乱が絶えることなく起こるようになる。

『チャクペ~相棒~』は、このような勢道政治の混迷時代に、悪と不正に対決するため立ち上がったふたりの青年の物語である。

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