第14号 衝撃!!「シュワッチ」は赤塚不二夫が初使用者だった!
 『ウルトラマンはなぜシュワッチと叫ぶのか?』を発刊し、半年以上過ぎたが読者の感想の中に衝撃的な事実を指摘したものがあった。

 東京都の沼田朗さんのおハガキ。「シュワッチという表現の初登場は、ウルトラマン最終回直後のS42・4月発行の少年マガジンの天才バカボンの第一回目であるはずです。」

 慌てて「天才バカボン」の第一回をチェックする。この大ヒットシリーズが開始された記念すべきエピソードである。初登場のバカボンとそのパパのバカぶりの描写が一段落し、出産のため入院しているママを見舞うラストのシーンだ。 生まれてくる赤ちゃんの名前はどうしようか、というくだりで、バカボンは「ギララガッパ」にしよう、ととんでもない意見を言うのだが、パパは「ウルトラマンのほうがいいよ!」と 賛成の反対をするのだ。するとバカボンは「だってこの前負けそうだったじゃないか」と反論し、それにまたも歯向かうパパはスペシウム光線のポーズをとり、書き文字で確かに「シュワッチ」と叫ぶのだ。

 しまった!わたしとしたことが、これは痛い見落としだった。ウルトラワールドの他、赤塚ワールドもわたしの人格形成に多大な影響を与えているが、これはまさに盲点だった。
 この本の本文中、わたしはウルトラマンの掛け声で「シェー」と「ホエッ」は、円谷英二が赤塚不二夫の世界が好きだったゆえに出たものだ、という指摘をしている。そ して結果的にウルトラマンのイメージコピーとなる「シュワッチ」も赤塚不二夫の言 語感覚から認識され、発せられたものだったというわけだ。
 円谷英二は「シェー」や「ホエッ」を取り入れる。そして、そのお返しとして赤塚不二夫はバカボンとパパが「ウルトラマン」の熱心な視聴者であるという性格付けをしているのだ。この話は「ウルトラマン」最終回放送日と同じ日付の4月9日号の少年マガジンに掲載された。 しかし、週刊誌の実際の発売日は明記してあるものの1週間は前が通常なので、これは4月2日付近に世に出ているはずだ。つまり、この号の原稿を赤塚不二夫が書いているのはその更に一週間以上前ということになる。 すると、「ウルトラマン」のオンエアはスカイドン、ザラガス、ジェロニモンという苦戦を強いられたものたちとの戦いだった。この回をうけて、バカボンが「この前負けそうだったじゃないか」というセリフを言っているものと推測できる。
 天才同士がお互いの世界を超えて、その秀逸な部分を感じ取り作品に取り入れる。その柔軟な発想はすごい。これはつまり、時代の空気感を読む力があったということである。そして天才ゆえのエール交換だったというわけだ。今の作品に足りないものはここだと思う。

 このことをもう少し早く知っていれば、更にこの本の主張が明確になったはずだ。それはウルトラマンはギャグの世界だ、ということ。永井豪の「ウスラセブン」が 「シュワッチ」の初出としてしまったが、両方ともギャグマンガ。赤塚不二夫がその初使用者となれば、この主張は更に明確になる。ウルトラマンにギャグのイメージはやはり不可欠なのである。それを改めて感じ入った次第である。

 沼田さん、本当にありがとうございました。おハガキには「同じ指摘が多数寄せられていると思いますが」とありますが、このことを指摘してくれたのは貴方だけです。

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