綿本彰のヨーガメソッド

初心者からインストラクターまで対応 綿本彰 究極のプログラム

インタビュー

上級者=難しいポーズの実践!?
「ヨーガの本質」は何かを、改めて問いかけた作品

2年ぶりとなる本作品は、シリーズ6巻目。過去作品は累計15万本のヒットを記録中だといいます。期待値も高いであろう新作は、どんなところにこだわりましたか?

おおまかにいうと、今までの作品は「体の柔軟な人(初級)」、または「硬い人(上級)」という意味で、同じプログラムの中で初心者と上級者向けのポーズを示していました。でも、ヨーガは必ずしも“上級者=体が柔らかい/難しいポーズの実践”ではないんですね。そこで今回は、ポーズの難易度でレベルわけをせず「リズム」と「集中」という2つに重きを置きました。
まず、上級者の特徴は呼吸や動作に力みがない分、酸素の消費が少なくすむので、呼吸のリズムもポーズもゆっくり行えます。さらに、1つのポーズでじっくり止まっても、自分の内面に対して深く集中できるので、受動的かつ、瞑想的な誘導に重きを置いたプログラムに。でも初心者の場合、ある程度リズミカルにポーズを進めていかないと、呼吸も集中も途切れやすいので、ポーズの数を増やし、気軽に爽快感を得られる設定にしています。各レベルにあわせた習得すべきポイントを徹底解説し、無理のない段階を踏みながら、究極的なヨーガの本質へと導きました。

上級者には難しいポーズというのが、主流だと思っていましたが… この作品は、まったく逆のベクトルで衝撃です。

そうですね、上級編なのに“基本的なポーズ”しか行わないのが衝撃でしょうね。多くの人は、難易度の高いポーズを力ずくで完成させて上達した気分になることも。それら、ヨーガの本質を無視した現状に問題提起をしたかった、という思いもあります。シンプルなポーズだからこそ、ヨーガが求めている深み、力みを手放した中心(肚)からの動きや、自然と呼吸がゆったりと、楽になっていく過程を体感できますし、実は、この“中心感覚”を培うことで、ゆくゆくは難しいポーズもできるようになるんです。だからこそ、この上級プログラムは本質を押さえていないと、気持ち良いと思えない設計にしました。まさに、登竜門ですね。

基礎こそがすべての土台になる、ですね。また、綿本先生はサンスクリット語(ヨーガ発祥地:インドの古典語)を使わないのでとても理解しやすく、心に響きます。

そうですね。ヨーガの本質を伝えるためには、サンスクリット語である必要はないし、難しいポーズも必要もない。むしろ、そこに囚われると「本当は何がしたいのか?」、一番大切なことを見落としかねない。だって、頭の後ろで足が組めても、日常生活で何の得にもならないですから(笑)でも“中心感覚”が身につくと、たとえば、どんなに辛い状況でも“肚を据えて、肩の力を抜く”だとか、日常生活のなかに自然といかされます。これそこ私が、ヨーガの素晴らしいと思う部分なんです。

健康だけなく精神面や、人生の質まで向上させるという、一石三鳥ぐらいの魅力ですね。そういえば、ある体操の金メダリストが「オリンピックの試合では、自分の力を6割に落とす」と話していました。力みを手放して、本来の自分らしさを出すという、同じ意図でしょうか。

まさに、そういうバランスを作るのがヨーガの得意とする分野。そもそも、良い状態とは、シャキッと冴えているけれど、同時にくつろいでいる状態のことです。でも多くの人は、シャキッとすると肩に力が入り過ぎたり、落ち着くと眠くなったりというように、なかなか両立しないんです。そこで、先ほどから何度も出ている“中心感覚”。肚がどっしりとしていて、同時にくつろいでいるという絶妙なバランスが維持できると、最小限の力で大きな効果を生み出せる。自分のポテンシャルが発揮できるんですね。とはいえ、トップアスリートの方々は練習を重ねてきたからこそ。いきなりDVDで「さあ、そういうバランスになりましょう!」といっても難しいので、私はそれを“身体論(精神と肉体の相互性)”に置き換えています。
日本にある「肚の文化(胆力)」。たとえば、好きなことをやっている時は、肚がどっしりとイキイキしていて、反対に、緊張や不安がある時は上半身に力みが生じます。本来、心と体はひと繋がり。だからこそ、どういう風に体を使えば、心がベストな状態になるか、体からのアプローチを実践しています。これら、“心が一番バランスしている時の身のこなし”をヨガマットの上の練習ですり込むことで、仕事に取り組む時や、人とコミュニケーションを取る時など、日常生活の色々な場面でいかされるんです。

なるほど。綿本先生の誘導の言葉には、ロケ地の大自然とシンクロさせながら、解放的かつ、イキイキした心の状態を喚起させられるので、まさに、気持ち良さを無理なく、ポーズで体現できました。ムードと集中力を高める、音楽の演出も素晴らしいですね。

ありがとうございます。音楽もシーンに合わせて、瞑想を実践されている専門家に作曲していただくなど、制作面にも気合が入っています。ポーズのスピードやキープ時間も0.1秒差で完全に調整していますし、右側を伸ばしたら、次は左側も、というように左右交代で行うポーズでは、キープ時間も左右均等に揃えました。実はこれ、業界初。今までは不可能な作業だったんです。でもなぜ可能になったか… それは、誘導の声を自分で録音して、自分で編集をしたから(笑)技術専門の方だと、息を吐きながら体を倒して、吸いながら戻るという動きのどこからが右で、どこからが左なのか、ヨーガ特有のタイミングを計る難しい。ですから、私が自分で書いたセリフの原稿にタイムコードを細々書き込み、録音した音声の完成版を撮影現場で流しながら、モデルさんに動いてもらいました。

それはすごい。コンセプトから録音、編集すべての工程に、余すところなく先生の世界観がギッシリ。これぞまさに“綿本劇場”ですね!

実は、大きなイベントや全国ツアーに行くと「命を救われました」という声をかけてくれる方がいたんです。「辛い時にこのDVDを毎日練習しました」とか。そういう方は、私のDVDを観ながら、毎日1回の練習を1年とか2年とか、または5年とか、本当に数えきれないぐらい、たくさん実践をしてくださいます。だから私も、そういう方に向けて、コンマ1秒レベルの誤差があるものを伝えたくないんです。もう絶対に妥協できない。じゃあどうするか、自分で録音して自分で編集するしかないですよね。何度も何度も、修正しては編集して、まさに渾身の作品。もう、すべてを出し切った集大成です!

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